前回のVercel・Cloudflare Pages比較から2か月。CloudflareがPagesをWorkersへ統合していく動きと両社のAI機能強化を踏まえ、今どちらを選ぶべきかを整理し直します。

Cloudflare® PagesとVercel、比較の第2弾|「Workersへの統合」が進む今どちらを選ぶべきか

2026年7月に公開した記事「VercelとCloudflare Pages、どちらを選ぶ?用途別の使い分けガイド」では、Next.jsを使うならVercel、費用を抑えた静的サイトならCloudflare Pages、という整理を紹介しました。その後、特にCloudflare側で見過ごせない変化が続いています。本記事はその続報として、2026年9月時点の状況を踏まえ、「これから選ぶなら」「今のまま使うなら」の判断の目安を整理し直します。

1. 【重要な変化】新しいサイトは「Pages」より「Workers」へ

Cloudflareは2025年4月、公式ブログで、これからサイトを作るならPagesではなく「Workers」から始めることを勧める方針を示しました。Workersは本来、プログラムを動かすための仕組みですが、画像やHTMLなどのファイル(静的な素材)をそのまま配信する機能が加わり、1つのWorkerでサイトの表側と裏側の処理をまとめて動かせるようになったためです。

現在、CloudflareのPagesの公式ドキュメントでも、「Workersは、Pagesのほとんどの使い方に対応している」として、新しいプロジェクトはWorkersで始めるよう案内されています。新しい機能はWorkers側から先に提供されることが多く、Pagesとの差は広がりつつあります。

ただし、「ほとんど」であって「すべて」ではありません。公式の移行ガイドによると、Cloudflareで管理していないドメインをつなぐ使い方にはWorkersが対応しておらず、Pages独自の機能(ファイルの置き場所で処理を振り分ける仕組みや、Pages用の追加機能)も、別の方法に置き換える必要があります。

2. 「保守モード」という言葉の正しい受け止め方

こうした流れを受けて、Pagesは「保守モードに入った」と表現されることがあります。ただし、Cloudflare自身がPagesの提供終了を発表したわけではなく、既存のPagesのサイトはこれまでどおり動き、正式にサポートも続いています。移行の期限も設けられていません。

「保守モード」とは、動いているものが突然止まるという意味ではなく、「新しい投資の中心が別の場所に移った」という状態を指す、ソフトウェアではよくある世代交代の形です。慌てて移行するより、自社のサイトの状況に照らして、落ち着いて判断すれば十分です。

3. 今から始めるなら、PagesかWorkersか

これから新しくサイトを作るなら、Cloudflare Workers(静的な素材の配信機能)を選ぶのが無難です。今後の機能追加やドキュメントの充実がWorkers側に集まっていくことを考えると、長く運用するほどWorkersに分があります。静的な素材の配信にかかるリクエストは、Pagesと同様に無料で扱われます。

設定の方法はPagesと少し異なり、設定ファイルで配信するフォルダを指定し、コマンドで公開する形が基本です。ただ、AIコーディングツールに手順を任せれば、非エンジニアでも十分に扱える範囲です。

4. 既存のPagesサイトは移行すべきか:判断の目安

すでにPagesで安定して運用しているサイトは、「困っていなければ、そのままでよい」が基本です。移行を検討すべきなのは、次のような具体的な理由があるときです。

新規サイトか、Next.jsの高度な機能が必要か、既存のPagesで困っていることがあるか、の3つの質問で、Vercel、Workers、Pagesのまま、のどれを選ぶかを示す判断図

状況

判断の目安

今のサイトが問題なく動いている

移行しない(現状維持)

サーバー側の処理を大きく増やす予定がある

移行を検討する

表側と裏側を別々に運用していて、1つにまとめたい

移行を検討する

Workersにしかない新機能を使いたい

移行を検討する

近くサイトの全面リニューアルを予定している

リニューアルに合わせて移行する

移行は多くの場合、プログラムを書き直す作業ではなく、設定の移し替えで済みます。具体的には、設定ファイルの作成、公開するフォルダの指定、環境変数などの設定のし直し、独自ドメインのつなぎ直しです。Cloudflareも公式の移行ガイドを用意しています。いきなり本番を切り替えず、テスト用のプロジェクトで一度動かしてから切り替えるのが安全です。

移行の前に確認しておきたい3つのこと

  • URLの転送設定:古いURLから新しいURLへの転送などの設定が、移行先でも同じように働くかを確かめる。転送が止まると、検索エンジンからの流入やブックマークが途切れる
  • 自動公開の仕組み:GitHubなどに変更を送ると自動でサイトが更新される仕組みを使っている場合、移行後も同じように動くかを確かめる
  • 外部サービスとの連携:記事の管理サービスやお問い合わせフォームなど、サイトとつながっている外部サービスの設定を洗い出しておく

どれも、公開の仕組みを変えるときに見落としやすい点です。特にURLの転送は、表示に問題がなくても裏側で止まっていることがあるため、移行後に古いURLを実際に開いて確かめることをおすすめします。

5. 両社ともAI機能を強化:AI Gatewayという共通の流れ

ホスティングの比較に、この1年で新しい軸が加わりました。「AIをどう安全に、費用を抑えて使うか」を支える機能です。両社とも「AI Gateway」という、複数のAIモデルへの呼び出しをまとめて管理する窓口を提供しています。

  • VercelのAI Gateway:複数の会社のAIモデルを1つの窓口から切り替えて使える。AIモデルの料金に上乗せの手数料を取らない。毎月の無料枠もあるが、使えるモデルや利用回数に制限があり、一度クレジットを購入すると無料枠は無くなる(無料枠の金額は利用開始時に公式の料金ページで確認)。うまく応答しないときに別のモデルへ切り替える仕組みや、入力したデータを保存しない設定も用意されている(Pro以上では依頼ごとの指定は追加料金なし、チーム全体に一括で適用する場合は有料)
  • CloudflareのWorkers AIとAI Gateway:Workers AIは、オープンなAIモデルを、世界各地に分散したCloudflareのサーバーで動かせるサービス。利用者に近い場所で処理する分、応答が速い。AI Gatewayは、AIへの呼び出しの記録、同じ質問への答えの再利用(キャッシュ)、回数の制限などで費用を管理できる

大まかに言えば、Vercelは「開発のしやすさと、AIモデルの切り替えやすさ」、Cloudflareは「利用者に近い場所での処理の速さと、費用の効率」に強みがあります。AIを使った機能を自社のサービスに組み込む予定があるなら、この違いも選ぶ材料になります。

6. 料金プランを比較する

項目

Vercel

Cloudflare(Workers/Pages)

無料プラン

Hobby(個人の非商用に限る)

静的な素材の配信は無料で、商用利用も可能

有料プランの入口

Pro:開発者1人あたり月20ドルから+使った分の追加料金

Workers Paid:月5ドルから

商用サイト

Pro以上が必要

無料プランでも運用できる

大企業向け

Enterprise(個別見積もり)

Enterprise(個別見積もり)

Vercelは無料プランが非商用に限られる一方、Cloudflareは無料の範囲が広く、小規模な事業者にとって使いやすいという傾向は、前回の記事から変わっていません。会社のサイトを無料で運用したい場合、この違いは今も選択の分かれ目になります。

7. 用途別の選び方(2026年9月時点)

  • Next.jsの高度な機能を使う、複雑なサーバー側の処理が必要 → Vercel
  • これから新しく静的なサイトを作る → Cloudflare Workers(Pagesではなくこちら)
  • すでにCloudflare Pagesで安定運用している → 無理に移行せず、困りごとやリニューアルのタイミングで検討
  • AIモデルを切り替えながら開発したい → VercelのAI Gateway
  • 費用を抑えつつ、AIの処理をサイトに組み込みたい → CloudflareのWorkers AI

どちらのサービスも、利用者に近い場所から配信する仕組みを使っているため、単純な表示速度では大きな差を感じにくいことがほとんどです。違いが出やすいのは、複雑なサーバー側の処理やAIの処理を伴う場面です。

8. よくある疑問

Q. 今すぐPagesからWorkersに移行しないと使えなくなる?

いいえ。Pagesの提供終了は発表されておらず、移行の期限もありません。既存のサイトはそのまま動きます。

Q. VercelとCloudflareを両方使うのは無駄?

用途によっては合理的です。たとえば、主力のアプリはVercelでNext.jsを使い、簡単な案内ページはCloudflareで運用する、といった使い分けをしている企業もあります。サイトの置き場所は1つに絞り、AI Gatewayだけ別の会社のものを使う、という組み合わせも可能です。

Q. WordPressのサイトから乗り換える場合も、同じ考え方でよい?

WordPressは、表示のたびにサーバーで処理を行う仕組みのため、そのままではCloudflareのWorkersやVercelには載せられません。乗り換えるには、記事の管理を別のサービスに移し、表示を静的なサイトとして作り直す必要があります。AIテックベースもWordPressを使わずに静的なサイトとして作りましたが、その判断の理由は「なぜWordPressではなく、静的サイトを採用したのか」の記事で詳しく紹介しています。

Q. 非エンジニアが判断に迷ったら?

「今のサイトは問題なく動いているか」「近く大きなリニューアルの予定はあるか」「AIを使った新しい機能を加えたいか」の3点を押さえれば、あとは制作会社やエンジニアと相談して決めれば十分です。置き場所の選択は一度決めたら変えられないものではなく、必要なときに見直せば問題ありません。

9. まとめ

  • Cloudflareは新しいサイトにはWorkersを勧めており、公式ドキュメントでも「WorkersはPagesのほとんどの使い方に対応」としている(そのまま移せない部分もある)
  • Pagesは提供終了ではなく、移行の期限もない。「保守モード」は新しい投資先が移ったという意味
  • 新規のサイトはWorkers、既存のPagesサイトは困りごとやリニューアルのタイミングで移行を検討する
  • 両社ともAI Gatewayを提供。Vercelはモデルの切り替えやすさ、Cloudflareは処理の速さと費用の効率に強み
  • 料金の傾向(Vercelの無料プランは非商用のみ、Cloudflareは無料の範囲が広い)は前回から変わっていない

CloudflareおよびCloudflare Pagesなどのサービス名は、Cloudflare, Inc.の商標または登録商標です。

この記事を書いた人

野澤 孝理の横顔と上半身

株式会社curve

野澤 孝理

デジタルマーケティングを中心にClaude CodeやCodexを活用したサイト型LP制作、集客ツール設計、解析ツール導入や業務改善システムの構築等の集客×AIを掛け合わせた包括的支援を展開しております。

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