OpenAI DevDay 2026の25の発表を一覧で整理。dots、GPT-6.1 Sol、Codex、ChatGPT Spaceの要点と、中小企業が活用を始める方法を解説します。
OpenAIは2026年9月29日の「DevDay 2026」で、ChatGPT、Codex、モデル、開発者向けAPIなどに関する20件以上の発表を行いました。共通する方向は、AIが質問に答えるだけでなく、資料を参照し、仕事を進め、人の確認を受けながら作業を続けることです。
この記事ではOpenAIの発表一覧に掲載された25項目を一覧化し、経営者・非エンジニアが押さえたい変化と導入時の注意点を整理します。提供状況や料金は発表時点の情報です。利用前に製品画面で最新の条件をご確認ください。
DevDay 2026の発表25項目を一覧で確認
OpenAIは「20件以上の主要発表」と説明しています。総括ページで見出しの付いた項目は25個あり、次の表では掲載順に要約しました。新製品だけでなく、既存機能の拡張や今後提供予定の機能も含みます。
No. | 分野 | 発表項目 | 要点 |
|---|---|---|---|
1 | エージェント | dots | 目標に沿って継続的な仕事を進めるAI。 |
2 | モデル | GPT-6.1 Sol | コーディングや業務作業向けの新モデル。 |
3 | 速度 | Ultrafast | 対象モデルの出力を速める上位設定。 |
4 | データ保護 | Private Intelligence | 安全性確認と機密性を高める企業向けの取り組み。 |
5 | 開発 | Codex in the cloud | Codexをクラウドや別の端末から利用。 |
6 | 開発 | Codex CLIの刷新 | 音声指示や複数タスクの管理などを改善。 |
7 | 開発 | Code Review | 変更内容の確認と問題の検討を支援。 |
8 | セキュリティ | Codex Security Cloud | リポジトリの問題候補を調査し修正案を準備。 |
9 | API | Decisions API | 決められた選択肢から分類・振り分けを返す。 |
10 | API | Agents APIのコンピューター操作 | エージェントが画面を操作する機能を提供。 |
11 | クラウド | Bedrock Managed Agents | AWS上でOpenAIのエージェント機能を利用。 |
12 | プラグイン | Plugin extensions | ChatGPT内に独自の画面や操作を追加。 |
13 | プラグイン | 作成・提出・発見の改善 | 作成ツールや審査、推薦の流れを改善。 |
14 | プラグイン | Sitesによるホスト | Sitesで作ったサイトに対応プラグインを追加。 |
15 | プラグイン | MCP Events対応 | 接続アプリの出来事を自動処理のきっかけに。 |
16 | 共同作業 | ChatGPT Space | 人とAIがチームの資料や仕事を共有。 |
17 | 共同作業 | Pages | 人とAIが一緒に作成・編集する文書。 |
18 | 共同作業 | 共同編集スライド | チームとAIがスライドを共同編集。提供予定。 |
19 | チーム | チーム作成とタスク共有 | 資料や繰り返す仕事をチームで共有。 |
20 | 外部連携 | Slack・Teamsでの@ChatGPT | 普段の会話からAIを呼び出せる。 |
21 | 会議 | Meetings plugin | 会議の記録と行動項目をSpaceへ保存。 |
22 | 公開 | Shareable profiles | 作成したSitesやプラグインを紹介。 |
23 | アカウント | Sign in with ChatGPT | 対応する外部サービスへのログインを簡略化。 |
24 | プラン | Pro 500 | より多い利用枠とUltrafastへのアクセス。 |
25 | 企業調達 | OpenAI Marketplace | 対象企業が契約枠を承認済み製品に充当。 |
25項目が全員に一斉提供されるわけではありません。 プラン、地域、管理者設定、提供開始時期は項目ごとに異なります。特に「限定プレビュー」と「今後提供」は、導入計画で分けて扱いましょう。
発表を五つの分野に整理する
名称を一つずつ覚えるより、何の仕事に役立つかを見る方が実用的です。発表は、①継続作業を担うエージェント、②チームの情報共有、③モデルと速度、④開発・外部サービスへの組み込み、⑤権限とデータ保護、という五つの観点で整理できます。
たとえば提案書を作るなら、Spaceに参照資料を置き、AIに草案を作らせ、担当者が価格と納期を確認するという流れが考えられます。これは複数機能を組み合わせた活用例で、導入すれば自動的に実現するという意味ではありません。
dots:継続する仕事を任せるエージェント
新たに発表された「dots」は、利用者の目標や仕事の進め方を踏まえて作業を続けるAIエージェントです。OpenAIによると、GPT-6 Astraを基盤とし、専用のクラウド上のコンピューター、ブラウザ、接続を許可されたアプリを使います。顧客の要望を確認して改善案をまとめる、製品の変更に合わせて資料を更新するなど、情報が変わる仕事を想定しています。出典:OpenAI「Introducing dots」
中小企業なら、問い合わせからFAQの改訂案を作る、商談メモから次回の確認事項を整理する、といった仕事が候補です。ただし、実行できる操作は契約プラン、地域、接続先、権限によって異なります。
大切なのは、下書きの作成と外部への送信を同じ権限にしないことです。OpenAIは、dotsが確認を要する操作の前に承認を求める設定や、作業履歴の確認を案内しています。利用者の指示なしに調査する「proactive research」では、接続アプリへのアクセスを読み取り専用に制限すると説明しています。それでも、支払い、対外発信、顧客情報の変更は人が確認する運用が適切です。出典:dotsの権限と承認
発表時点では対象地域のProやBusiness Premiumに提供され、Enterprise、Edu、Healthcareでは管理者が有効化した場合にベータ版を試せると案内されました。2026年10月15日時点の公式ガイドでは、Pro(Pro 100・200・500)は欧州経済領域・英国・スイスを除く18歳以上の利用者が対象で、Enterpriseは初期状態で無効、管理者が有効にすると使えます。日本のアカウントでの利用可否は実際の画面で確認してください。
GPT-6.1 SolとUltrafast:性能・費用・待ち時間を分けて考える
「GPT-6.1 Sol」は、GPT-6 Solを改良した新モデルです。OpenAIは、コーディング、コンピューター操作、専門的な仕事で高い性能を示し、標準の入出力トークン単価は上位のGPT-6 Astraの5分の1だと説明しています。これはOpenAIによる比較であり、すべての仕事で同じ結果になる保証ではありません。出典:GPT-6.1 Solの発表
経営上は、モデルの単価よりも仕事一件を完了する総費用が重要です。安価でも修正回数が多ければ、人の確認時間まで含めた費用は増えます。簡単な分類と難しい判断でモデルを使い分け、完成までの時間と品質を測ると比較しやすくなります。
「Ultrafast」は出力速度を重視する設定です。OpenAIはCodexで最大8倍、APIで最大6倍のトークン生成速度を示していますが、読み込みや外部サービスの待ち時間まで同じ倍率で短くなるわけではありません。GPT-6.1 Sol向けUltrafastは発表時点では今後提供予定でしたが、その後、OpenAIの開発者向け資料ではGPT-6 AstraとGPT-6.1 Solの両方で利用できると案内されています(2026年10月15日時点)。急ぐ対話型作業と、夜間の一括処理で選び方は変わります。出典:発表一覧
Codex:開発の調査からレビューまで
Codexには、クラウド上での作業、音声による指示、複数タスクの管理、コードレビューなどが追加・改善されました。サイトの表示崩れを例にすると、原因調査、修正案、画面確認までを一連の仕事として依頼できます。ただし、公開前の変更内容と影響範囲は人が確認します。
「Codex Security Cloud」は、リポジトリを調べて問題候補を整理し、修正案を準備する機能です。検出漏れがないことや修正案が必ず正しいことを保証するものではありません。開発を外注している会社でも、修正内容の理解や公開前の確認に役立つ一方、委託先のコードや顧客情報を扱うときは契約と権限の確認が必要です。出典:Codex関連の発表
ChatGPT SpaceとPages:チームの情報をそろえる
「ChatGPT Space」は、人、ChatGPT、dotsが資料や仕事を共有する場所です。「Pages」は、その中で人とAIが一緒に編集できる文書です。企画書や調査メモを同じ場所で更新すれば、毎回背景を説明する手間を減らせます。出典:ChatGPT Space
導入時は、①正式な資料の保存場所、②閲覧・編集できる人、③古い情報を更新する担当を決めましょう。料金表や規約が古ければ、AIが自然な文章を書いても内容を誤ります。共同編集スライドなどは発表時点で今後提供予定のため、現在使える機能とは分けて確認してください。
プラグインとAPI:自社サービスに組み込む場合
プラグインでは、開発者がChatGPTのサイドバーや対話画面に独自の体験を追加できます。作成・提出・発見の仕組みも改善され、接続アプリの出来事をきっかけに自動処理を始めるMCP Eventsへの対応も発表されました。ただし、プラグインを作るだけで利用者が増えるわけではなく、何を便利にするかと許可するデータの範囲が設計の中心です。出典:発表一覧
「Agents API」は、AIエージェントを自社システムへ組み込むための窓口で、画面操作にも対応しました。「Decisions API」は、自由な文章ではなく、あらかじめ定めた選択肢から分類や振り分けを返します。たとえば問い合わせを「請求」「製品」「契約」に分ける用途が考えられます。後者は発表時点では限定プレビューでしたが、その後パブリックベータとして開発者に公開されました(2026年10月15日時点、開発者向け資料で確認)。出典:Agents API・出典:発表一覧
画面操作の誤りはデータ変更につながります。テスト環境、操作できる範囲、承認が必要な操作、実行記録、誤分類を人へ戻す経路を先に決めてください。
Private Intelligence:データ保護は設定まで確認
OpenAIは、企業向けの「Private Intelligence」と、今後プレビューを予定する「Private Inference」を紹介しました。ただし、新機能の発表だけで、あらゆる製品・プランのデータが同じ条件で保護されるわけではありません。出典:発表一覧
導入前には、入力データの処理・保存条件、閲覧できる人、接続アプリへの権限、管理者設定を確認します。公開情報、社内限定情報、顧客から預かった情報を分け、AIに渡せる範囲を決めることが実務上の第一歩です。
仕事への導入は、五つの段階で進める
発表された機能を一度に導入する必要はありません。下の図は「目的を決める→情報と権限を整える→AIに作業を任せる→人が確認する→結果から改善する」という順番を示します。製品同士が自動連携する図ではありません。
最初の一か月は、FAQの改訂案や議事録の整理など、結果を確認しやすい仕事を一つ選びましょう。一週目に今の手順と困りごとを記録し、二週目に渡してよい資料と確認者を決めます。三週目に少数の案件で試し、四週目に時間、修正回数、品質を見て続けるか判断します。草案が10分早くできても確認が30分増えるなら、任せ方の見直しが必要です。
試す仕事は「失敗したときに元へ戻せるか」でも選びます。たとえば社内向けのFAQ案なら、公開前に編集者が確認できます。一方、顧客への自動返信や会計データの更新は、誤りがすぐ外部や帳簿に影響します。最初の実験では、AIの出力をそのまま送らず、担当者が判断できる途中成果物を作らせる方が運用を整えやすくなります。
効果測定では、AIの利用回数ではなく、案件ごとの「着手から完了までの時間」「人が直した箇所」「確認で見つかった誤り」を記録します。二、三件でうまくいっても、例外的な案件で品質が落ちる可能性があります。試した条件と失敗例も残しておけば、対象を広げるべきか、資料や権限の設定を直すべきかを判断しやすくなります。
まとめ:機能より先に「任せ方」を決める
DevDay 2026の発表は、AIが情報を共有し、仕事を継続し、結果を人と確認する方向を示しました。自社では「改善したい仕事」「必要な情報」「AIに許す操作」「最後に確認する人」を決め、その仕事に合う機能だけ選ぶとよいでしょう。評価するのはAIが作った文章量ではなく、人が確認して完了した仕事です。
