ウェブサイトのホスティングを検討するとき、VercelとCloudflare Pagesはどちらも人気の選択肢だ。それぞれの強み・弱み・向いているプロジェクトを整理し、最適な選び方を解説する。

VercelとCloudflare® Pages、どちらを選ぶ?用途別の使い分けガイド

ウェブサイトを公開する先(ホスティング)を選ぶとき、VercelとCloudflare Pagesは必ずといっていいほど候補に挙がります。どちらも無料のプランがあり、GitHubと連携した自動公開ができます。ただし、向いている用途や、無料で使える条件は大きく異なります。

本記事では、2つのサービスの違いと、費用の考え方、制作会社に依頼するときの確認ポイントを、非エンジニアの経営者向けに整理します。AIテックベース自身がCloudflare Pagesで運用して分かった、実際の使い勝手もあわせて紹介します。なお、両サービスとも料金や機能は頻繁に変わるため、契約前には必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。

1. Vercelとは:Next.jsの本家が運営

Vercelは、Next.js(Reactをもとにしたフレームワーク)を開発する会社が運営するサービスです。Next.jsとの相性がとても良く、ページをその都度作る処理や、一定時間ごとに作り直す処理など、Next.js特有の機能をそのまま動かせます。

  • 強み:Next.jsとの完全な互換性。変更の提案(プルリクエスト)ごとに確認用のURLが発行されるため、社内や取引先に「公開前の画面」を見せて承認をもらう流れを作りやすい。アクセス解析や、AIの機能を組み込むための部品(AI SDK)なども充実
  • 注意点:無料のHobbyプランは、個人の非商用の利用に限られる。会社のサイト、広告やアフィリエイトを含むサイト、受託制作などは商用扱いになり、Pro(開発者1人あたり月20ドルから、使った分の追加料金あり)以上が必要

2. Cloudflare Pagesとは:世界規模の配信網が強み

Cloudflare Pagesは、世界有数の規模の配信網(CDN)を持つCloudflareが提供するサービスです。世界300以上の都市にある拠点から配信するため、どこからアクセスしても表示が速いのが特徴です。

  • 強み:画像やHTMLなど静的なファイルの配信は、無料プランでも通信量の上限がなく、商用のサイトでも使える。不正なアクセスを防ぐ仕組み(DDoS対策など)が標準で付いている
  • 注意点:Next.jsの高度な機能には完全には対応していない(本格的なNext.jsは、CloudflareでもWorkersでの利用が勧められている)。サーバー側の処理(関数)の呼び出しは、無料プランで1日10万回まで。ビルドは無料プランで月500回まで

3. 最新動向:Cloudflareの新規案件は「Workers」へ

大きな変化が1つあります。Cloudflareは2025年4月から、これから新しく作るサイトはPagesではなく「Workers」で始めるよう勧めています。Workersは、もともとプログラムを動かすためのサービスですが、HTMLや画像などのファイルをそのまま配信する機能が加わり、Pagesのほとんどの使い方に対応できるようになりました。

Next.jsの高度な機能が必要ならVercel、新しく静的なサイトを作るならCloudflare Workers、すでにCloudflare Pagesで運用中ならそのまま継続でよい、という選び方の図

新しい機能はWorkers側から先に提供されることが多く、2026年4月には、Pagesと同じように外部から再ビルドを始められる「デプロイフック」もWorkersで使えるようになりました。一方で、Cloudflare自身がPagesの提供終了を発表したわけではなく、既存のPagesのサイトはこれまでどおり動き、移行の期限もありません。制作会社から「PagesではなくWorkersで作ります」と提案されたら、それは今の流れに沿った自然な選択です。

ただし、Workersを選ぶ前に1点だけ確認しておきたいことがあります。Pagesでは、ドメインの管理(ネームサーバー)を今の会社に置いたまま、「www.example.com」のようなサブドメインだけをつなぐことができます。一方、Workersは、ネームサーバーをCloudflareで管理していないドメインには対応していません。ドメインの管理を別の会社で続けたい事情がある場合は、制作会社にその点を伝えたうえで、PagesとWorkersのどちらで作るかを決めましょう。

4. 費用の考え方

比較項目

Vercel

Cloudflare(Pages/Workers)

無料プラン

Hobby(個人の非商用に限る)

静的なファイルの配信は無料で、商用利用も可能

有料プランの入口

Pro:月20ドル(デプロイできる席1つと、20ドル分の利用枠を含む)。開発者を増やすと1人月20ドル、利用枠を超えた分は従量

Workers Paid:月5ドルから

会社のサイト

Pro以上が必要

無料プランでも運用できる

費用が増える要因

開発者の人数、アクセスや処理の量

サーバー側の処理の回数、ビルドの回数

Vercelは、会社のサイトなら実質的にProプランが前提で、サイトの公開や設定をする開発者の人数分の費用がかかります(閲覧だけのメンバーは無料)。Cloudflareは、静的なファイルの配信なら無料の範囲が広く、アクセスが急に増えても配信の費用が跳ね上がりにくいのが特徴です。Next.jsの高度な機能を必要としない会社のサイトや採用サイトなら、費用面ではCloudflareに分があるケースが多いでしょう。

VercelのProは月20ドルの基本料金に開発者の人数と利用枠を超えた分が加わり、Cloudflareは静的ファイルの配信が無料で、処理やビルドの回数が上限の目安になることを比べた図

Vercelの請求をもう少し具体的に見ておきましょう。Proの月20ドルには、サイトを公開・設定できる席が1つと、20ドル分の利用枠が含まれます。利用枠は月をまたいで繰り越せず、使い切ると、超えた分が従量で請求されます。新しく契約した場合、利用額が1回の請求期間で200ドルに達すると通知が届く設定が最初から有効になっており、管理画面で上限額や、上限に達したときの動きも決められます。毎月の予算が決まっている会社は、契約の時点でこの設定を確認しておくと安心です。

ただし、どちらも「公開先が無料なら制作費も安い」わけではありません。デザインや文章、仕組みの実装にかかる制作費は別にかかります。公開先の費用だけでなく、制作と保守の費用全体で比べましょう。

5. 実際に運用して分かったこと

AIテックベースは、Astroで作ったサイトをCloudflare Pagesで公開しています。GitHubに変更を送るか、CMS(microCMS)で記事を公開すると、自動でサイトが組み立て直され、1分ほどで反映されます。運用してみて分かった点を紹介します。

  • 無料プランで十分に回る:静的なサイト中心なら、無料プランの範囲で運用できている
  • ビルドの回数は意識しておく:記事の更新やサイトの改修のたびにビルドが走る。無料プランの月500回は、大量の記事を一度に直す日には気にしておきたい
  • 失敗しても前の版が残る:ビルドが失敗しても、直前に成功した版が表示され続けるため、サイトが真っ白になることはない
  • URLの転送が簡単:「_redirects」というファイルに1行ずつ書くだけで、古いURLから新しいURLへの転送を設定できた

新規ならWorkersという流れはありますが、静的なサイト中心の構成なら、Pagesで困ることは今のところありません。移行は急がず、実際に制約に突き当たったときに検討すれば十分だと考えています。

6. どちらを選ぶべきか

  • Next.jsを使う、複雑なサーバー側の処理が必要 → Vercel
  • Astroなどで作る静的なサイト、費用を抑えたい(新規) → Cloudflare Workers
  • すでにCloudflare Pagesで運用中 → そのまま継続でよい

7. 将来の引っ越しに備える作り方

公開先のサービスは、料金の改定や方針の変更で、数年後に乗り換えたくなることがあります。実際、Cloudflareの「新規はWorkersへ」という方針転換のように、同じ会社の中でも勧められる仕組みが変わります。引っ越しの手間を小さくするために、次の点を意識しておくと安心です。

  • サイトの中身は標準的な形で作る:Astroのように、普通のHTMLファイルとして書き出せる作り方なら、どの公開先にも持っていきやすい
  • サービス独自の機能は最小限にする:独自の関数や設定に頼る部分が多いほど、引っ越しのときに作り直しが必要になる
  • ドメインの管理を把握しておく:独自ドメインの設定(DNS)をどこで管理しているか、誰がログインできるかを、発注者の側でも把握しておく
  • 転送の設定を一覧で残す:URLの転送の書き方はサービスごとに違う。旧URLと新URLの対応表を別に残しておけば、どこに移っても設定し直せる

「今どちらが安いか」だけでなく、「数年後に動きやすいか」という視点で作り方を選ぶことが、長い目で見た費用を抑えることにつながります。

8. よくある誤解と、制作会社に聞きたい3つの質問

「無料プランがあるから、会社のサイトもタダで運用できる」:VercelのHobbyプランは個人の非商用に限られ、会社のサイトで使うことは規約上認められていません。Vercelの規約では、サイトの制作にかかわる誰かが金銭的な利益を得る使い方を「商用」としており、商品やサービスの宣伝、サイト上での支払いの受け付け、広告の掲載、報酬を受け取ってのサイトの制作や更新などが例として挙げられています。見積書に「Vercelなら無料です」と書かれていたら、注意信号です。規約違反を指摘され、急な移行を迫られるリスクがあります。

「Cloudflareは無料だから機能が弱い」:静的なサイトの配信に関しては、無料プランでも通信量の上限がなく、十分な性能があります。「無料=機能が弱い」とは限りません。

制作会社に依頼するときは、次の3つを聞いてみましょう。

  1. 「どちらで公開する想定で、その理由は何ですか」:Next.jsの高度な機能を使わないのにVercelのProを提案されている場合、費用が高くなっているだけの可能性がある
  2. 「アクセスが増えたら、月々の費用はどう変わりますか」:従量課金の部分と、上限の目安を確認する
  3. 「将来、別のサービスに引っ越すとしたら、どのくらいの手間がかかりますか」:特定のサービスの独自機能に深く依存していると、乗り換えの費用がかさむ

これらに筋道立てて答えられる制作会社なら、技術を選んだ理由を説明できているということです。

9. まとめ

  • VercelはNext.jsとの相性が最大の強み。ただし無料プランは非商用に限られ、会社のサイトはPro以上が必要
  • Cloudflareは静的なファイルの配信が無料で、商用でも使える。世界規模の配信網で表示が速い
  • Cloudflareは2025年4月から、新規のサイトにはPagesよりWorkersを勧めている。既存のPagesはそのまま使える
  • 公開先の費用だけでなく、制作と保守の費用全体で比べる
  • 制作会社には「選んだ理由」「アクセス増加時の費用」「引っ越しの手間」を聞く

参考資料

CloudflareおよびCloudflare Pagesなどのサービス名は、Cloudflare, Inc.の商標または登録商標です。

この記事を書いた人

野澤 孝理の横顔と上半身

株式会社curve

野澤 孝理

デジタルマーケティングを中心にClaude CodeやCodexを活用したサイト型LP制作、集客ツール設計、解析ツール導入や業務改善システムの構築等の集客×AIを掛け合わせた包括的支援を展開しております。

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